どうも!
Ganapatiです。
事業のアイディアは自分で考えるだけではなく他人に聞いた方がより良いものが出来上がります。さらに言えばお客様(市場)に聞くのが一番間違いの無い手法です。
実際に「顧客の声を集めろ!」なんて急に振られたとしたらあなたはどうしますか?
急に言われてもすぐには出来ませんよね。日ごろから顧客との接点がなければアンケートを送っても答えてくれるはずもありません。
今回はそんな顧客との接点を公開して商品開発と顧客獲得に成功している事例をご紹介します。
WEBマーケティング担当者や顧客サポート担当者は必見。
- WordpressのSEOプラグインで有名なWPRocketの取組み
- WPRocketによるTrelloボードを見てみる
- フォーラムとしてのTrelloボードの活用からどんな効果が予想されるか?
- 蛇足ですがマイクロソフトの取り組みも紹介
WordpressのSEOプラグインで有名なWPRocketの取組み
WPRocketについて
WPRocketはWP Media社が開発するWordpressのSEOプラグインです。
Wordpressは何もしなければアクセスの都度PHPというプログラムによって動的にコンテンツが作成・配信されるためSEOで重要とされる「表示速度」において他のCMSに比べ劣っています。
サイトの読者にしてみても表示が遅いのは嫌ですよね。
なのでWordpressユーザーのほとんどの人は「静的キャッシュ系」のプラグインを使用しています。静的キャッシュというのは一度呼び出したデータを保存して再利用しましょうという仕組みのことです。そうすることでWordpressサイトの表示が劇的に改善します。
WPRocketはそうしたプラグインの一つなのです。
レッドオーシャンなSEOプラグイン
さて、WPRocketにとって非常に困っているのはライバルとなるプラグインが数多くあることです。
有名どころのプラグインとしても10個以上あり、大小合わせれば200個くらいのプラグインが公開されています。しかも無料で利用可能なのです。まさにレッドオーシャン状態。
WPRocketは無料でも使用できますが、非常に有益でコアな機能については1年更新の有料プランへの申し込みが必要です。というか、きちんとした製品を開発するためには有料プランの利用者をある程度確保しなければなりません。
ただでさえ無料で優れたプラグインが多い業界の中で数少ない有料プランを展開するのは困難です。
タダで何でも利用できると勘違いしがちな人たちから金を出させる困難さは容易に想像できますよね?
競争に勝つための戦略としてTrelloを活用
さて、こんな泥沼とかした戦場でWPRocketが勝つために生み出した戦略が「フリーミアム」と「顧客の巻き込み」なのです。
フリーミアムはご存知のように基本機能を無料で開放しつつ、上級機能は有料で、、、というやり方。これは様々な業界でよくあるので説明は割愛。
今回あなたにご紹介したいのは「顧客の巻き込み」の方です。
まずは以下のサイトをご覧ください。
通常、サポートフォーラムといえば専用のシステムを使用して開設するのが多いのですが、WPRocketはなんとプロジェクト管理ツールTrelloの公開機能を利用しています。
WPRocketによるTrelloボードを見てみる
それでは実際にどのようにTrelloのボードを活用しているか解説します。
①ボードがGoogle検索で表示される
まず、Google検索で「WPRocket」という商品名を検索してみます。すると商品ページのすぐ下にTrelloの公開ボードが表示されます。
気になる人はきっと見に行くことでしょう。
ちなみに、WPRocketユーザーはユーザー登録するとメールマガジンを通じてこのボードの存在や使い方を案内されます。
②Trelloボードの全体的な構成
全体的な構成は結構単純です。
- 現在対応中もしくは検討中の機能改善に関するカード
- 次期バージョンのチラ見せ的なカード
- 対応完了済みのカード
3年くらい前はもっと多かったような気がしますが、今はこのような単純な作りです。
③ボードの使い方について説明
まずはボードの一番最初のカードに「ボードの使い方」についての説明が書いてあります。
重要という表示の赤いラベルもつけてあるのでわかりやすいですね。
③現在対応中もしくは検討しているもの
現在対応中もしくは検討中のカードを個別に表示するとこんな感じです。
機能改善要望に対する投票やコメントも気軽にできます。
ものによってはコメントを使ったディスカッションがなされているようです。
④次期バージョンのチラ見せ
現在はカードがありませんでしたが次期バージョンに搭載する予定の機能などを表示したりもできます。
⑤対応済みリスト
そして最後に対応済みの機能のカードです。
決してアーカイブするのではなく、一覧として表示されたままになっています。
フォーラムとしてのTrelloボードの活用からどんな効果が予想されるか?
さて、このような単純な構成の公開Trelloボードですが、ビジネス上どのような効果があると思いますか?
私なりにまとめてみました。
自分たちでは気づかない要望の発見
そもそもこうしたお客様の声を集めるフォーラムを開設していない企業って多いですよね。
独りよがりな商品開発を避けるためにもお客様の声は大事です。
そうした声の中には自分たちでは気づかなかったような素晴らしい意見が埋もれているかもしれません。
ベータテスターの募集
こうしたフォーラムに参加している人の中からベータテスター(試験的導入者)を集めることができます。
ベータテスターはおおよそ圧倒的ファンです。
圧倒的ファンとのつながりを深めることでマーケティングにも生きてきます。
対応優先度の合理的判断
投票機能・コメント機能がありましたよね?これを生かせばどこから手を付けていくのが最も合理的でかつ顧客満足度につながりやすいかについて判断が可能です。
ライバルを分析した比較優位を実現
商品を最もよく知るのは開発者や企画者ではなくお客様です。
お客様は自社商品のみならず競合商品についても調べており、もっとも厳しい目で意見を言ってくれる人です。
そうしたお客様の意見を生かしていくことによって競合商品と比較しても負けることはない商品を作ることが可能になります。
実際にWPRocketはサイト上で堂々と機能比較を紹介しています。
これだけ違うと有料でも使いたくなりますよね。
ビジネスモデルとしての差別化
また、こうしたお客様の声に真摯にむきあう姿勢はそれだけでもビジネスモデルとしての差別化になっていきます。
要望を出しても何の反応もないような企業よりも、こうしたお客様の声にしっかり反応してくれる企業を選択したいですよね。
顧客満足度・継続率の向上
さて、結果的にユーザーは満足度を向上させます。そしてライセンスの更新の際にまた使用したいと思うわけです。
特に自分が要望を出した機能改善が実現していれば当たり前のように継続するでしょう。
ストック型(サブスクリプション型)の収入モデルの事業者は絶対に真似したほうが良いと思います。
口コミ等による新規顧客獲得
もちろん既存ユーザーだけではなく新規ユーザー獲得にもつながります。
素晴らしいサービス、素晴らしい体験はシェアしたくなるでしょ?
蛇足ですがマイクロソフトの取り組みも紹介
ちなみにTrelloではないですが、マイクロソフトも各製品ごとにフォーラムが開設されていて意見吸収をしています。
日本人はサポート担当の人に直接口頭で話をした方が早いです。担当の方も積極的にニーズを聞きに来ます。
※Teamsフォーラムの画面キャプチャ
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このような公開型のフォーラム・サポートは日本においても今後のトレンドになるかと思います。そうしないと顧客が離れていきますからね。
サポートフォーラムを持っていないならTrelloを活用してみたらいかが?